著作権法改正案を読み解く(1) (第四十七条の五 バックアップ)
とりあえず文部科学省、文化庁のお役人の皆様、お疲れ様でした。三重括弧とかがあってすごく読みにくかったです。それから、法律案の段階なので著作権は文化庁が保持していると思いますが、PDFはコピー可能にしてほしかったです。私の環境はAcrobat Standard 8ですが、PDF内の単語検索もできません。
私にとっては著作権侵害コンテンツのダウンロード違法化はどうでもいいので、そのほかの部分について自分で理解できた分だけを書きたいと思います。主に第四十七条の複製の関する部分を読む予定です。
引用元が「主」引用先が「受」、及びその他の「引用」の用件は満たさないと思いますが、文化庁の皆様は目くじらたてないでくださいね。
(送信の障害防止等のための複製)
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2009/03/11/1251916_5_3.pdf
第四十七条の五
自動公衆送信装置等*1を他人の自動公衆送信等*2の用に供することを業として行うものは、次の各号に掲げる目的上必要と認められる限度において、当該自動公衆送信装置等により送信可能化等*3がされた著作物を、当該各号に定める記録媒体に記録することができる。
あまりにも複雑なんで、脚注記法で書いちゃいました。本当は脚注の脚注にしたかったのですが、ダイアリーの仕様上無理で、またブラウザの仕様上しても意味がないので仕方がありません*4。
「業として行う」と書いてありますが、こちらを読むと、個人的あるいは家庭的なものを除くすべて、と書いてあります。個人で運営するユーザー参加型のウェブサービスではバックアップとっちゃだめってことですかね…。
それはともかくこの法律の一例を挙げると、「ブログデータのバックアップを、そのブログを運営している会社がしていいよ。」ってことですが、目的が二つありまして、
一 自動公衆送信等の求めが当該自動公衆送信装置等に集中することによる送信の遅滞又は当該自動公衆送信装置等の故障による送信の障害を防止すること 当該送信可能化に係る公衆送信用記録媒体等*5以外の記録媒体であつて、当該送信可能化等に係る自動公衆送信等の用に供するためのもの
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2009/03/11/1251916_5_3.pdf
二 当該送信可能化等に係る公衆送信用記録媒体等に記録された当該著作物の複製物が滅失し、又は毀損した場合の復旧の用に供すること 当該公衆送信用記録媒体等以外の記録媒体(公衆送信用記録媒体等であるものを除く。)
一は送信の遅れ、障害の防止のために、ミラーサイト(当該送信可能化等に係る自動公衆送信等の用に供するためのもの)をつくってもいい。二はデータが壊れたとき用にバックアップをとってよい、というところでしょうか。
しかし、わざわざ「バックアップは『その公衆送信用のためにある』別の記録媒体にしろ」だなんて、文化庁の方は親切ですね。記録媒体の定義は現行の著作権法にも書いてありませんが、「コンピュータ1単位」ってことでいいんでしょうか?最近はサーバの仮想化が流行っていますが、その辺はどういう風に考えているのでしょうか?
頭が痛くなってきたので、今日はここまでです。
*1:自動公衆送信装置及び特定送信装置(電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち特定送信(自動公衆送信以外の無線通信又は有線電気通信の送信で政令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)の用に供する部分(第一号において「特定送信用記録媒体」という。)に記録され、又は当該装置に入力される情報の特定送信をする機能を有する装置をいう。)をいう。以下この上において同じ。)
*2:自動公衆送信の及び特定送信をいう。以下この上において同じ。
*3:送信可能化及び特定送信をし得るようにするための行為で政令で定めるものをいう。以下この上において同じ。
*4:2chブラウザみたいにできたらいいんですけどね。LegalXMLとかどうなったのかな…
*5:公衆送信用記録媒体及び特定送信用記録媒体をいう。次号において同じ