MediaLab Love Chapter 2

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全てのWebサービスは「研究開発中」を名乗ればよくね?

現在のインターネットで当たり前のようにあるサービスは、そのほとんどが残念ながら違法であると解釈されます。
例えばGoogle,Yahooなどの検索エンジンは……

  1. Webサイトの内容を自分のところのサーバにかき集める
  2. それを再構成して、検索しやすくする(この説明は適当ですが)
  3. それを検索させる。

という仕組みになっています。しかしこれは

  1. Webサイトの内容を自分のところのサーバにかき集める←著作権法第21条に違反*1
  2. それを再構成して、検索しやすくする←著作権法第20条に違反*2
  3. それを検索させる。←著作権法第23条に違反*3

という風に解釈する事が出来ます。
こういう問題点もあって、昨年6月に’m“IàŽYí—ª–{•”はこのような方針を打ち出しました。

(2)ネット検索サービス等に係る法的課題を解決する
次世代をリードする情報の検索・解析・信憑性検証技術の開発・国際標準化
による先進的な事業の出現を促進するとともに、ネット検索サービスが円滑に
展開されるよう2008年度中に法的措置を講ずる。また、利用者に応じて、
適した商品等の情報を提供するサービスが円滑に提供できるよう、利用者のプ
ライバシーを保護しつつ利用者に関する情報を安心・安全に収集・蓄積・活用
するための方策等について検討を行い、2008年度中に一定の結論を得る。
総務省文部科学省経済産業省

知的財産推進計画2008(PDF注意) 85P

 今のところどういう法律にするかというのは現在委員会等で議論中ですが、フェアユース規定を著作権法に記そうというものがあります。ただその規定を盛り込んだとしても、結局のところ「著作物の利用がフェアユースかどうか?」ということで訴訟を起こされる可能性があります。規定が無いよりはましですが、訴訟リスクは依然として存在する事になります。

 なんとかならないかと探しましたが、ありました。それは研究開発目的の利用でした。先ほどの知的財産推進計画2008には次のような文章がありました。

(1)研究開発における情報利用の円滑化に係る法的課題を解決する
ネット等を活用して膨大な情報を収集・解析することにより高度情報化社会
の基盤的技術となる画像・音声・言語・ウェブ解析技術等の研究開発が促進さ
れること等を踏まえ、これらの科学技術によるイノベーションの創出に関連す
る研究開発については、権利者の利益を不当に害さない場合において、必要な
範囲での著作物の複製や翻案等を行うことができるよう2008年度中に法的
措置を講ずる。
文部科学省

知的財産推進計画2008(PDF注意) 86P

 これです。検索エンジンだろうが、RSSリーダーだろうが研究開発目的と称すればよいのです。
実際、Yahoo!はYahoo! Researchを開設して研究し、論文を発表しています。GoogleだってResearch at Googleにおいて同じ事をしています。
 Googleとかは研究開発目的ではなく営利目的ではないか、との批判もありそうですがそこは心配ありません。
文化庁 文化審議会著作権分科会の資料で、法制問題小委員会 平成20年度中間まとめには次のように書かれていました。

(2) 権利制限を行う場合のその他の要件
a 営利・非営利の別
権利制限の根拠を情報解析技術に関する研究開発の社会的意義等に求める考
え方に照らせば、例えば、同様の観点から検討が行われている検索エンジンに
関する課題に関しては、特に非営利要件を求めない方向で検討されており、非
営利のものに限定する必要はないと考えられる。その場合に著作権者等の利益
が害されるおそれがあるとするならば、次のbの要件設定により対応すべきと
の意見があった。

法制問題小委員会 平成20年度中間まとめ(PDF注意) 44P

 著作権の制限に関しては営利、非営利は特に考慮しない方向で検討されてるようです。この文書は長いので、手っ取り早く知りたいときは、概要(PDF注意)をご覧ください。
 フェアユース規定は、さまざまな業界の反発が予想されるのでなかなか難しいかもしれません。このような道ができるかもしれないという事ですので、Webサービス関係者の方々は参考にしてみてください。

参考資料1:ASCII.jp:検索エンジンが「違法」、いつまで続く? |池田信夫の「サイバーリバタリアン」
参考資料2:知的財産推進計画2008
参考資料3:著作権法改正で検索エンジンの適法化へ--政府の知財戦略本部が方針 - CNET Japan
参考資料4:法制問題小委員会 平成20年度中間まとめ(概要)
参考資料5:法制問題小委員会 平成20年度中間まとめ

*1:「第二十一条  著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。」[http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%92%98%8d%ec%8c%a0%96%40&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=S45HO048&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1:title]

*2:「第二十条  著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。」[http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%92%98%8d%ec%8c%a0%96%40&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=S45HO048&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1:title]

*3:「第二十三条  著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。」[http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%92%98%8d%ec%8c%a0%96%40&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=S45HO048&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1:title]