MediaLab Love Chapter 2

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「見えてきた! 宇宙の謎。生命の謎。脳の謎。」に行って来ました。

遅くなりましたが、3月21日に東京のサンケイホールで開催された、自然科学研究機構の講演・シンポジウムで気になったことや感想を書き留めたいと思います。
プログラムはこちらをご覧下さい。
今回のテーマは「イメージング」です。観測によって得られた情報を絵にすることは、研究者は勿論のこと、一般の人にも分かりやすくなるという利点があります。
まず、国立天文台長の海部先生のお話しでした。氏の講演でひとつ気になることがありました。

もんだいは、太陽系のそとに、そういう生命はあるのかということ。 1995年に、マヨールという天文学者が、こういう観測に成功した。木星が回(公転)ると、太陽もまわる。すると、太陽の動きを、ドップラーの速度としてはかることができる。恒星の速度を正確に測定すると、周期的に変動している。はず。

マヨールは、恒星の速度が、みごとなサインカーブに乗っていることを示した。ところが、周期が4日。惑星の公転周期も4日ということだ。

それまでは、惑星の公転周期は年単位だと重いこんでいた。 (ママ)

私は「太陽系の」木星が公転周期4日だという風に聞こえました。すごく違和感を覚えたのですが、海部先生は「太陽系外」の「木星と同じ位の体積の惑星」が公転周期4日だと仰りたかったのでしょう。文章にするとよく分かります。

Using the Doppler technique, detection of the first extrasolar planet, 51 Peg B, was announced by Mayor and Queloz in late 1995. Roughly the mass of Jupiter, 51 Peg B's orbital period is only 4 days, placing it 10 times closer to it star than Mercury is to the Sun. Since then, 50 extrasolar planets have been found, all of them ranging from about Jupiter size up to 14 times the mass of Jupiter. Many are extremely close to their parent star, and those farther out have highly elliptical orbits. These close-in gas giants―dubbed "hot Jupiters" – blew away our model of planetary formation. Terrestrial planets, composed of less volatile materials, are expected to form close to the star, while gas giants, comprised of more volatile materials, should only be able to form in the colder regions much farther from the star.

これを読むと、ちゃんと"Roughly the mass of Jupiter(木星と同じ位の体積の惑星)"と書いてあります。

次に登場されたのは、基礎生物学研究所の長谷部光泰先生でした。氏は講演中笑みを絶やさず、実にいい気持ちで聴くことができました。氏のフィールドワーク、ダーウィンの進化論、にわとりとたまごの話などがありました。Leafy遺伝子の話もじつにうまくまとめてあり、分かりやすかったです。

生理学研究所の柿木隆介先生は脳の専門家です。脳波を使った嘘発見器でテレビにもご出演なさってます。サブリミナル効果の実験では、挟み込むフレームが顔とそのほかの場合で有意に差があるそうです。

生理学研究所東京大学の河西春郎先生が、講演の中で一番難しかったです。内容もそうなのですが、重要そうな部分を早口で廻してしまうので、なかなか聞きづらい部分がありました。「スパイン」など耳慣れない単語が多く、こちらを事前に読んでおけばよかったと後悔しています。

後半はさまざまな分野から「イメージング」というテーマでの講演でした。なかでも最も気になったのは国立天文台の家正則先生の「補償光学(Adaptive optics)」でした。ハワイにあるすばる望遠鏡はただ単に空を観察しているわけではありません。私はてっきりソフトウェアのレベルでやっているのかと勘違いしていましたが、観測によって大気のゆらぎを感知し、それに基づいて鏡面を細かく、くにゃくにゃ動かして出来るだけ精度の高い画像を得るようにしています。
Wikipediaを見ると、現在のシステムでは、観察したい対象のすぐ近くに12等級から15等級までの星があるか、もしくはレーザーを射出し、その後方散乱を検出して、空気のゆがみを測定する方法があるそうです。無論一番よい方法はハッブル宇宙望遠鏡*1であることは間違いないのですが…。

最後はシンポジウムなのですが、終わりの方に岡崎統合バイオサイエンスセンターの永山國昭先生が、家先生に「なんで天文台はあんなに金を使えるのか」と訊かれましたが、これに答えたのは国立天文台長の海部先生で、「100億円の天文台は国民一人一人が100円出しているものと考えている。出してよかったなと思うものにしたい」と答えられてました。その後立花隆氏が、国立天文台のホームページは2000万ヒットを越えており、他の追随をゆるさない。これは、きちんとしたPRをやっているからであり、これからは自然科学研究機構全体でやる必要がある、と総括で述べられておりました。*2
私の感想を述べますと、やはり一般受けするものは、言語的な説明なしで説得力のあるものだと思います。すなわち「視覚的に結果が出るもの」です。下世話な言い方をすれば「テレビ受け」するものです。マスコミ、特にテレビマスコミはJaxaの活動しか紹介しないように思います。もちろんこれは、視覚的インパクトが大きいからであり当たり前なのですが、産業技術総合研究所等の応用目的の研究所でなくても、分野に一つくらいは紹介できるものがあるのではないでしょうか。
やはり向こうから来るのを待っているのではなく、インターネットでも何でも自ら発信していくことが大事だと思います。面白画像、面白映像を日々探し求めているサイトはいくらでもあります。とっかかりはなんでもかまいません。これからは、自然科学研究機構、ならびに所属研究機関には「イメージング」をキーワードに画像、動画を公開、あるいは研究所の一般公開などを通して、一般の人への啓蒙活動を続けてほしいと切に願います。


ちなみにここまでは前フリです。

岡本: ものづくりで気合が入るのは日本の特徴かなぁ、という(笑)(編者注: 今回の講演中多くの先生が何度も気合の入った実験系について触れています。) 精密なものを作ると言う特質が活かせている。

永山: ITというとソフトウェアで、日本はこれがからむとどういうわけか急に負ける…うちではそうなんですが、例えば顕微鏡とかはどうですか?

田中: 三次元の表示ソフトは日本が作ってないです、海外から。要するに情報としては取れるのにそれを提示するためのソフトウェアは日本は弱いですね。(太字は引用者)

長山: ちょっと反論しようかな(笑) プラズマトモグラフィは海外で始まりましたが、始めた人がえらくなりすぎてやめちゃった。あとを継いだ人もいましたが、日本はソフト面ではそれよりけっこう充実しているかなぁ、と。

永山: ぜんぶ海外のまねかと思ったんですが、どっかにそういう芽が、核融合にあるんだったら、それを育てていこうとか 今うちでもトモグラフィは考えているんですが、やっぱりソフトは海外のコピー。どこで独自精を出すかというのが問題ですね。(太字は引用者)

顕微鏡や望遠鏡に組み込むソフトウェアか、採ったデータを処理するコンピュータ(あるいはスパコン)上かは分かりませんが、少し悲しくなりました。

*1:つまり宇宙空間に望遠鏡を置く

*2:この辺りを引用したいのですが、長すぎるので省略します