MediaLab Love Chapter 2

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WWW2009開催記念 ケータイのググり方、パソコンのググり方

前回はアメリカの話でしたが、次は日本の話です。
Yahoo! Researchの方が書いた "A Study of Mobile Search Queries in Japan" (PDF) *1という論文です。
2006年のYahoo! Japanで検索された単語をパソコンからのものと、携帯電話からのものに分けて解析を行っています。
例によって要点をまとめると

  • 検索単語数(スペースが単語の切り分けではない)*2の平均値が、携帯電話は2.293, パソコンは2.249と差はない。
  • 検索文字数の平均値が携帯電話は7.928, パソコンは9.623と少し多い。
  • カタカナ、ひらがな、漢字、ローマ字*3を一つでも含む検索語の比率は、
メディア カタカナ ひらがな 漢字 ローマ字
携帯電話 46.6% 13.3% 66.3% 16.5%
パソコン 52.1% 8.7% 72.6% 10.5%

という結果。

  • 検索語をカテゴリ別に分けると、以下の図のようになる。


分け方はdmoz.orgで定義されているカテゴリに分けた*4。検索カテゴリランキング2位以下の比率は2つとも変わらない、1位はArtのカテゴリでパソコンの方が多い。Artがおおざっぱすぎるので見てみると、「コミック」「パフォーミングアート*5」「ビジュアルアート」「音楽」が主なサブカテゴリのようである。パソコンユーザはこれらのことについて、携帯電話ユーザよりもググっているのだろうか?

  • なお他の研究によると、携帯電話では「アダルト」カテゴリが突出していたが、上図では「アダルト」カテゴリが存在しなかった。これはdmoz.orgのカテゴリに存在しないからであって、決して日本人がエロい言葉でググらないという訳ではないので注意してください。
  • ちなみにこのことを誤解して「日本人はエロい言葉でググらない」という解釈が広まっています。この前紹介した論文*6では「日本の携帯コンテンツ検索は成熟している *7」との見解がなされています。Googleの中の人はちゃんと論文読んでくださいね(`・ω・´)

*1:Ricardo BaezaYates, Georges Dupret, Javier Velasco. 2007 "A Study of Mobile Search Queries in Japan" Query Log Analysis: Social and Technological Challenges WWW 2007 [http://research.yahoo.com/pub/476:title=Yahoo!] [http://www.google.co.jp/search?hl=ja&safe=off&client=firefox-a&rls=org.mozilla%3Aja%3Aofficial&hs=NE2&q=%22A+Study+of+Mobile+Search+Queries+in+Japan%22&btnG=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=:title=Google Scholar]

*2:chasenで単語の切り分けを行っているので、例えば「愛の泉」ならば3語となるはずです。

*3:論文中ではRomaji,アルファベットのことだと思われます

*4:分類は"standard binomial language model"という手法を使用。これについてググったが詳細不明。論文中の参考文献は、 W. Bruce Croft and John Lafferty, editors. "Language Modeling for Information Retrieval" Kluwer Publishers, 2004.

*5:演劇、コスプレ、お笑い等

*6:Maryam Kamvar, Melanie Kellar, Rajan Patel, Ya Xu. 2009. "Computers and iPhones and Mobile Phones, oh my!" User Interfaces and Mobile Web. WWW 2009

*7:Japanese mobile search is considered to be a more mature market

著作権法改正案を読み解く(4) 著作権法改正案の解説記事(BUSINESS LAW JOURNAL 6月号)

著作権法改正案の解説記事 - Copy & Copyright Diary

id:copyrightさんに紹介していただいた記事*1を読んでみました。
しかし、ページの都合*2もあると思いますが残念ながら私の期待に添うものではありませんでした。最後の1ページを除いて解説記事とは言い難く、改正案をまとめただけという印象を受けました。
また、改正案の個々の用語の解説もそんなにされていません。例えば、「送信元識別符号」の説明は、

なお、「送信元識別符号」とは、「自動公衆送信の送信元を識別するための文字、番号、記号その他の符号」と定義されている。

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2009年 06月号 [雑誌] - はてなキーワード

と言う風に改正案の表現をそのまま引き写したものとなっています。URLとは書けないのでしょうか?

ちなみに、私が知りたかった疑問点とは

  1. 改正案 第四十七条の六の例外の意味
  2. 改正案 第四十七条の七の「情報解析を行う者のように供するために作成されたデータベースの著作物」とは何なのか。その具体例。

です。

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2009年 06月号 [雑誌]

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2009年 06月号 [雑誌]

*1:桑野雄一郎. 2009. "著作権法改正案" BUSINESS LAW JOURNAL ビジネスロー・ジャーナル No.15 [asin:B0025M3AXU]

*2:全部で4ページ

WWW2009開催記念 Google論文で見るiPhoneユーザの特徴

開催記念と言っても先週で全て終わってしまいましたが、おもしろそうな論文を見つけたので紹介します。
GoogleとStanfordの方が書いた, "Computers and iPhones and Mobile Phones, oh my!" *1という論文です。この論文ではGoogleの検索ログを元に、アクセス元をパソコン、iPhone、普通の携帯電話の3つに分けそれぞれの特徴を議論するというものです。但し、アメリカ国内からのアクセスに限定してあります。
論文を不正確さを承知で一言でまとめると
iPhoneユーザはパソコンと同じようにググっている」
となります。もっと言うと、iPhoneユーザのググり方は携帯電話のそれよりもパソコンのそれに近い、といえるでしょう。
分からないところも多々あったので概要だけ記すと、

  • 検索クエリの語数、文字数ともにパソコンもiPhoneも差がない。携帯電話は少し落ちる。*2
  • 検索している単語をカテゴリ別に分け、それらを占める割合を見る。パソコンとiPhoneで比較すると、「コンピュータと電子」では2%程iPhoneが低い、「エンターテインメント」「地域」「食べ物飲み物」「スポーツ」「通信」では2%程iPhoneが高い。
  • パソコンと携帯電話では「コンピュータと電子」が5%程、「社会」は2%程携帯電話が低い。「インターネット」「オンラインコミュニティー」「通信」は5%程携帯電話が高い。「アダルト」カテゴリーが突出していて、11.6%携帯電話の方が高い*3
  • 検索クエリのばらつきは、パソコンもiPhoneも同程度。携帯電話が他の2つに比べてばらついていない(つまり、同じような検索語を使用している)。
  • 1セッション*4あたりの検索クエリ数はどれも変わらない。
  • Googleをよく使うユーザ*5の、35日間のセッション数はパソコンが18.10で圧倒的に多く、iPhoneが8.06、Mobileが5.79である。
  • さらにクエリのばらつきを見るためにentro-percentを定義*6。先ほどと同じようにばらつきが高いパソコンとiPhoneが、entro-percentも高く、ばらつきの低い携帯電話は、entro-percentも低いです*7
  • Googleをあまり使わないユーザ*8がそれぞれを占める割合は、パソコンが29.4%, iPhoneは22.89%, 携帯電話が42.6%だった。

*1:Maryam Kamvar, Melanie Kellar, Rajan Patel, Ya Xu. 2009. "Computers and iPhones and Mobile Phones, oh my!" User Interfaces and Mobile Web. WWW 2009

*2:平均値と中央値でp<0.0001の信頼性

*3:これは先行論文でも同様のようです。この論文と同じ著者の書かれた論文をご覧ください。Maryam Kamvar, Shumeet Baluja. 2006. "Large Scale Study of Wireless Search Behavior: Google Mobile Search" CHI 2006. 701-709 [http://scholar.google.co.jp/scholar?hl=ja&lr=&safe=off&q=%22A+Large+Scale+Study+of+Wireless+Search+Behavior%3A+Google+Mobile+Search%22&btnG=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=:title=Google Scholar]

*4:5分間操作をしなかった場合、1セッションが切れるとした。詳しくは Craig Silverstein, Monika Henzinger. 1999. "Analysis of a Very Large Web Search Engine Query Log" SIGIR Forum, Vol. 33 No. 1 pp. 6-12. [http://scholar.google.co.jp/scholar?q=%22Analysis+of+a+Very+Large+Web+Search+Engine+Query+Log%22&hl=ja&lr=&btnG=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=:title=Google Scholar](私は未確認です)

*5:35日間で、10task以上。taskという言葉が理解できませんでした。

*6:平均情報量(エントロピー)を発展させたものだと思うのですが、式の分母が理解できませんでした。

*7:これらの解釈は平均情報量に則ったものです。

*8:35日間で、1taskのみ。

表記ゆれ辞書「たんし」をsourceforgeに移管しました

Windows SkyDriveにいつまでも置いておくのもあれなので、sourceforgeに移しました。

http://tansi.sourceforge.jp/
http://sourceforge.jp/projects/tansi/

幾何学の動画(多様体とか)を3つアップしました。

こないだアップした動画のコメントに、「次はまだか」というコメントが結構あったのですがまだのようです。
待っている間にファイブレーションの勉強をするのもいいのですが、私にはまだ無理みたいです。理解が全然追いつかないので、少しでも勉強になるようこんな動画をアップしてみました。Dimensions 2がくるまでこの動画を見て、ソフトウェアをいじくり回していてください。

使用したソフトウェアはジェフ・ウィークスさんが作成されたCurved Spacesと、カーリーです。どちらもフリーソフトです。
四の五の説明するよりも、まずは動画をどうぞ。

YouTubeの動画リスト

【Curved Spaces】端のない宇宙 〜 Finite Universe Traveler

D

HD版:http://www.youtube.com/watch?v=VphgibORsLE&fmt=22 ←HD版でもあまり画質がよくないです。動きが激しいからでしょうか。本当はこの画像くらいきれいにでます。

ソフトは"Curved Space"です。ソフトのヘルプをそのまま引用すると

Curved Spaces は「端のない有限宇宙」のモデル内を、宇宙船で飛び回ることによって探険できる、フライト・シミュレータです。

ということらしいです。私もよく分かっていないのですが、要は無限につながった多面体をひたすら飛び回ることができるということです。

BGMは小山田圭吾(コーネリアス)「Wataridori 2」です。Creative Commons BY-NCになっています。
この動画のライセンスも、Creative Commons BY-NCです。

【Curved Spaces】合わせ鏡の向こうへ 〜 Images of images of images

D

HD版:http://www.youtube.com/watch?v=hsOYr5K4g1c&fmt=22

ソフトは先ほどと同じ、"Curved Space"です。こちらはどこまで行っても終わらない、いわゆる「無限ループ」を感じさせる内容になっています。数学的な説明をご期待の方は、ソフトをダウンロードしてください。私には無理です。
BGMはMind Infinity「Third Eye」です。Creative Commons BY-NC-SAになっています。
この動画のライセンスはCreative Commons BY-NC-SAです。

【カーリー】 対称的絵画 〜 Mirror Drawings

D

HD版:http://www.youtube.com/watch?v=FzDfR9ylKQ4&fmt=22

ソフトは"カーリー"、由来はヒンズー教のカーリー地母神から来ているようです。紙に直角に鏡を当てて、その紙にお絵かきしている様子を思い浮かべてください。この動画ではマウスを適当に動かしただけなのですが、こんなにもきれいな図形を描くことができます。ただきれいというだけではなくて、これもきちんとした幾何学の研究対象のようです。
404 Not Found
ソフトをダウンロードすれば、さらに細かい説明があります。いくつかある模様もきちんと幾何学的に定められているようです。
BGMは大沢伸一「Detonator」です。Creative Commons BY-NCになっています。
この動画のライセンスも、Creative Commons BY-NCです。

この3つの動画を作ることができたのも、

本当にありがとうございました。